お年寄りの総入れ歯。これの原因の大部分は「歯周病」です。
中には虫歯で多数の歯を失う人もいますが、多数の歯を失っている人のほとんどは歯周病です。
理由は、歯周病は虫歯よりも進行しやすいからです。
進行しやすい原因は
虫歯は進行すると「痛い」ですが、
歯周病は「痛みが無く」進行していきます。
痛みが出た時は末期です。(かなりの確率で歯を失います)
虫歯は痛みが出た段階では、いきなり歯を失う事はほとんどありません。
度合いにもよりますが、「しみる」程度では、詰め物で治せば済む事が多く、ちょっと我慢してしまった時や、刺激が伝わりにくい部分に虫歯が出来てしまい、痛みが出た時には神経がダメになっていた、という場合でも、いきなり抜歯にはならず、神経の治療→かぶせ物の治療で治せることがほとんどです。
それ以上に進んだ場合や、我慢しすぎた場合、神経を取って年数が経ったときに、虫歯の進行に気付かずに抜歯の運命となる場合もあります。
歯周病は、初めは「歯肉炎」です。
歯肉炎は歯茎が赤くなり、そのうち腫れぼったくなり、歯磨きで出血するとか、歯間ブラシで出血するなどの症状があるぐらいで、自覚症状はほとんどありません。
少し進行すると、歯と歯茎の間の溝が深くなったりしてきますが、自覚症状は「むずむずする」程度である事が多く、さほど気にならない事も少なくありません。
歯周病で痛みが出る時は、末期になり、歯の周りの骨が溶け、膿が出たり、歯がグラグラと動くようになって噛むと痛みが出たりします。
末期になるまで自覚症状がほとんどないのです。
俗に「サイレントキラー」とも言われています。(この場合は命に対するではなく、歯に対する意味です)
歯周病は自覚症状が出た時には、手遅れ=抜歯になる事も少なくありません。
重度糖尿病や、心疾患のある人にとっては、歯の周りから膿が出るほどの状態だと、口の中には太い血管も通っているので、細菌が血管から入り込み、菌血症を起こす可能性は十分あります。
(菌血症:血液が細菌感染する事で、悪化すると敗血症になります。
敗血症:感染した菌により、臓器がやられる事です)
歯周病は成人の8割はかかっていると言われています。
予防の方法は、定期的に歯科へ通い、歯石など歯周病の原因になる汚れをしっかり落とす事と、適切な歯磨き(歯ブラシだけでなく、フロスや歯間ブラシを活用するなど)を行う事がとても重要です。
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